
RAFのラストコレクションについて考える

皆さんこんにちは、お久しぶりの更新です。アイバラです。
先日、RAF SIMONSの23SSメインコレクション、
ブランドラストのコレクションアイテムが入荷してきました。
今日は入荷商品やコレクションルックを見ながら、
拙筆ながらも23SSコレクションについて僕が思うことを共有できればと思います。
念願のロンドンショー
今回のコレクションショーはRAF史上初のロンドンでの開催となりました。
会場は「PRINT WORKS」
ここは最大6000人のキャパシティを誇る、ロンドンでは最大級のクラブハウスで、他のブランドもショーを行ってきたような場所でした。
こちらの会場はもう既に閉業することが決まっていたのですが、
今を思えば、同じくフィナーレを迎えるという意味では、ラストコレクションには相応しい場所だったのかもしれません。
勿論、この会場は今季のツアーTのテーマになっております。
ラフシモンズはイギリス、ロンドンという地には少なからず憧れがあったのだと思います。
幼少期からラフシモンズの青春時代を形成してきたものは、UKロックやそのカルチャーだと言い切ってもいいほど、それらはラフに大きな影響を与えました。
デヴィッド・ボウイやニューオーダー、ピーター・サヴィルとの共作など、過去のコレクションにも、その影響の大きさは如実に表れてます。
単純な話、これまでも定番的に作られてきた、このツアーTでさえも、ラフシモンズと音楽の繋がりを強く表していますね。

ツアーTと言えば、バックプリントにラフシモンズの過去のコレクションショーの開催地が記載されていることで知られています。
今回のこちらの一枚をもって、遂にラフシモンズのツアーTが「完結する」こととなりました。
そういう意味では記念すべき一枚になったとも思えます。
ただやはり歴史的なブランドの終焉と考えると、寂しい気持ちになりますね。
まるで映画を見終わった後、まだその世界に浸りたい、終わってほしくないあの時のような…
まだラフシモンズがRAF SIMONSで描く、作品の続きを見たかったという気持ちが確かに湧いてきます。
ラフとアート
今季印象的だったものを挙げるならば、「フィリップ・ヴァンデンベルク」のアートワークも欠かせません。
「フィリップ・ヴァンデンベルク(1952-2009)」とは…
2009年に自死するまでに、様々なコンテンポラリーアートを描いてきた、ラフシモンズと同じくベルギー出身の画家。
今回、そんなフィリップ・ヴァンデンベルクの作品からラフがコレクションに落とし込んだものは、基本的にはフィリップ氏自筆のテキストアートワークでした。
どこか哀しさはありながらも、挑戦的で活力を感じさせる作品の数々は、ラフシモンズのものづくりへのイメージと重なる部分があったのではないかと思います。
アートはラフシモンズを構成する上で、音楽と並んで切っても切れないものの一つです。
今回ショー全体を通して考えると、ミニマルでムーディなルックが多いコレクションとなりました。
しかし、フィリップ氏のアートワークをラフらしい解釈で表現した、これらのアイテムもまた、最後のコレクションを語る上で、とても大事なピースの一つなのです。
RAF SIMONSの集大成
今回のコレクションは前述のように、近年のコレクションとは打って変わって、ミニマルでクラシカルな雰囲気が漂うものになっていました。
ラフのデビュー当時のコレクション、ミニマルで洗練されたルックに、少し近いシンパシーを感じた方もいらっしゃったかもしれません。
実際にアメリカ誌のインタビューによると、現代のオーバーサイジングのモードに対する、アンチテーゼ的なコレクションに仕上げたというお話をされていました。



RAF SIMONSの集大成というには、充分すぎるほど充実したコレクション内容だったんだと、今となっては思います。
1996年クラシカルなモードスタイルから始まり、
当時としては、かなりアヴァンギャルドなオーバーサイジングのコレクションまで、幅広い創作をしてきたラフシモンズ。
少しヌーディでボディコンシャスなルックや、ミニマルだけど大ぶりなベストやテーラードを使い、メリハリの効いたルックが共存する、
今季のコレクションは、ラフシモンズのこれまで培ってきた創作力を存分にぶつけたコレクションといっても過言ではありません。
最後に
1995年にデビューしてから現在まで、ファッションシーンの最前線に立つラフシモンズ。
2001年には世界を震撼させる劇的なコレクションを作り出し、現在のファッションシーンを形成する上で、ラフシモンズの与えた影響というのは計り知れません。
ミニマルでクラシカルなムードへの転換は、各メゾンのブランドからも見受けられる流れですが、
個人的にはファッションシーンでも、今の時代はより多様性が求められているのかな、と思います。
だからこそ、ラフが最後に作り出した、多様性を感じる23SSコレクションがこんなにも素晴らしいものになったのだと思います。
「始まりがあれば終わりもある。」
これは完全な僕の予想ですが、ラフは完璧主義者なのかもしれませんね。
だからこそ後継のデザインチームに任せることなく、自分自身で始めたブランドは、自分の手で終わらせたかったのかなと。
「終わりがあるから美しい。」とも言いますが、
僕は今回のコレクションは、これまでのRAF SIMONSの軌跡が垣間見える、始まりを感じた内容だったからこそ、より美しく思えました。
有終の美を飾る、ラストコレクション。
皆様も是非、その手でご覧いただければ幸いです。
下記のボタンより、ラフシモンズのトップページをご覧いただけますので、是非チェックしてみてください。
是非今後のラフシモンズの動きにも注目していきましょう。
拙文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。